中途採用・休職者の社会保険料負担に関する注意点
こんにちは。
今年は平年より梅雨入りが早いようです。急な雨に備えて、傘を常備するようにしたほうがいいですね。
さて、年一回の労働保険料・算定基礎が間近まで迫っています。これらは期間が定まっているので、回数を積んでいけばミスは減っていく業務ですが、
休職者の職場復帰や中途入社等、イレギュラーな場合には処理が誤りがちです。今回は、こういった場合の社会保険料の納付に関して注意点をお話しします。
例として、締め…20日 支給…28日 保険料…翌月徴収
としている場合、下記ポイント①とポイント②を勘違いした場合、ミスが発生する可能性があります。
ポイント① 社会保険料は、資格取得日の属する月から発生します。分かり易く言えば、月初に入社した場合でも月末に入社した場合でも、社会保険料は入社月から発生するという事です。
ポイント② 締切日が月末以外のケースでは、締切日より前の日に入社した場合と、締切日より後の日に入社した場合とでは、給与の発生に1か月のズレが生じます。
当てはめると、1月1~19日に資格取得した場合、社会保険料は1月分から発生し、給与も入社月の1月分から発生します。社会保険料の納付は翌月納付となっていますので、1月分の社会保険料は次月の2月分給与から控除します。
これに対し、1月20~31日の資格取得の場合は、社会保険料の発生は1月分からで前者と変わりませんが、給与は翌月の2月分から発生するため、最初の給与から社会保険料の控除を行うことになります。
支給対象日 支給日 社会保険料控除
1月分給与
12/20~1/19 1月28日 12月分 翌月納付
2月分給与
1/20~2/19 2月28日 1月分 当月納付
3月分給与
2/20~3/19 3月28日 2月分
4月分給与
3/20~4/19 4月28日 3月分
5月分給与
4/20~5/19 5月28日 4月分
6月分給与
5/20~6/19 6月28日 5月分
7月分給与
6/20~7/19 7月28日 6月分
8月分給与
7/20~8/19 8月28日 7月分
9月分給与
8/20~9/19 9月28日 8月分
10月分給与
9/20~10/19 10月28日 9月分
11月分給与
10/20~11/19 11月28日 10月分
12月分給与
11/20~12/19 12月28日 11月分
以上のように、ポイント①とポイント②は、期間にズレが生じる場合があり、2つを同じものだと判断すると、ミスを引き起こす要因となってしまいます。
締め日後に入社・職場復帰された従業員様の社会保険料控除の際はお気を付け下さい!
仮想通貨の課税方法について
こんにちは。
厳しい寒さも終わり、一段と暖かくなってきましたね。GWのご予定はもうお決まりでしょうか。
今回は、最近何かと話題となっている仮想通貨の課税方法についてお話しします。
仮想通貨の課税方法については、定義も含め、2017年4月1日に施行された改正資金決済法によって定められました。
まず、「仮想通貨」の定義は以下の通りとされています。
1、物品の購入・借り受け・役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(日本通貨・外国通貨・通貨建資産を除く)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
2、不特定の者を相手方として上記に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
1行目に該当する仮想通貨を「1号仮想通貨」と呼び、2行目に該当する仮想通貨を「2号仮想通貨」と呼びます。
上記を簡単に説明すると、
1号仮想通貨は通貨と交換できる仮想通貨(ビットコイン等)であり、
2号仮想通貨は、1号仮想通貨と交換する事ができる仮想通貨となります。
普段から利用されているSuica等の電子マネーは仮想通貨では?と思う方もいるかと思いますが、チャージする際に入金するお金は必ず円貨になりますので、1行目の「日本通貨・外国通貨・通貨建資産を除く」に該当せず、仮想通貨の範囲からは外れています。
と、仮想通貨の定義と範囲を確認したところで、本題の仮想通貨の課税方法に入っていきましょう。
仮想通貨の取引では、「消費税」と「所得税」の要点を押さえておく必要があります。
上記の税にはそれぞれ分類が分けられていますが、消費税は非課税、所得税は雑所得に分類されます。
詳細は下記の通りになります。
・「消費税」
以前は、仮想通貨は「物」とみなされ、物品購入と同じ8%の消費税が発生していました。
しかし、仮想通貨同士の取引だけでなく、モノを購入する際の決済手段として仮想通貨が使われるようになり、
消費税が上乗せされている仮想通貨で決済をしてしまうと二重課税になってしまうという問題点が出てきました。
その為、上記の問題点を解決法として、2017年3月に消費税法が改正され、仮想通貨は「物」ではなく「支払手段」と定義付けされたことにより、2017年7月から消費税は非課税となりました。
・「所得税」
2017年12月に発表された国税庁の「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」により、仮想通貨から得た利益は雑所得に分類されることとなりました。
雑所得は総合課税の対象となっており、給与所得等の収入と合算した金額によって税率が決定されます。
気になる税率ですが、総合課税の税率は、課税対象額の増加に比例して税率が高くなる「累進課税」を採用しています。
195万以下 税率5% 控除額0円
195万以上330万円以下 税率10% 控除額97,500円
330万以上695万円以下 税率20% 控除額427,500円
695万以上900万円以下 税率23% 控除額636,000円
900万以上1,800万円以下 税率33% 控除額1,536,000円
1,800万以上4,000万円以下 税率40% 控除額2,796,000円
4,000万円を超える 税率45% 控除額4,796,000円
そのため、仮想通貨の取引で得た利益が多額となった場合、税率は最高で45%となり、住民税10%と合計して最大税率55%となります。
なお、仮想通貨の利益の発生タイミングですが、大きく3つに分けられます。
1、売買・換金した際、購入時よりも高く取引することができた場合
2、モノを仮想通貨で購入した際、仮想通貨の価値が上がっていた場合(例:1仮想通貨1万円で購入し、その後2万円に価値が値上がりした際にモノを購入した⇒1万円の利益となる)
3、マイニング(仮想通貨取引で、新規の仮想通貨を解析する作業)により仮想通貨を得た場合に、新たに得た仮想通貨の価値から、その仮想通貨を得るための費用を控除した際に利益が発生した場合
1と2のように仮想通貨を手放さず、保有しているだけであれば課税対象とはなりません。
一度に売却せず、年度が切り替わるまで持ち越しをして利益を分割することで、節税の可能性が出てきます。
以上、簡単に仮想通貨の課税方法について触れましたが、仮想通貨については面白い読み物が多いので、興味を持った方は調べてみてはいかがでしょうか。
医療費控除に特例が設けられます(セルフメディケーション税制)
こんにちは。
数十年ぶりの大雪など、全国各地で厳しい寒さが続いていましたが、最近は暖かくなってきましたね。
さて、2月15日から3月15日にかけて、年一度の確定申告の時期になります。
今年の確定申告が従来と大きく変わる点は、医療費控除の特例が設けられたことです。
セルフメディケーション税制といい、これまでの医療費控除の対象外だった人も、医療費控除が受けられる可能性があります。
今回は、このセルフメディケーション税制についてお話します。
まず、セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、以下の条件に該当する必要があります。
1.保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
2.市区町村が健康増進事業として行う健康診査【生活保護受給者等を対象とする健康診査】
3.予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
4.勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
5.特定健康診査、特定保健指導
6.市町村が健康増進事業として実施するがん検診
これらのうちどれかの取り組みを行い、かつその証明ができる場合に適用を受けることができます。
インフルエンザの予防などは領収書が必要ですが、健康診査などの審査類は、診断結果のコピーでも申請時の添付資料として使用することができます。
そして、セルフメディケーション税制により控除対象とされるものは、特定一般用医薬品等(略称otc医薬品)の購入金額とされています。
otc医薬品とは、簡単に言えば、病院から処方される薬とは違い、薬局等で売っている薬の事を指します。
薬局で売っている薬がすべてotc医薬品とは限りませんが、購入した際のレシート(商品名に*などが付されている)や商品のパッケージに識別マークが付されるなどの工夫がされています。
このotc薬品を年間12,000円を超えた場合、購入金額から12,000円を引いた金額を控除対象金額とすることができます。
これだけ聞くと、控除の範囲が広がったということでお得感が出ますが、実際にはそういうわけではありません。
理由は、このセルフメディケーション税制は医療費控除の特例であるため、従来の医療費控除との併用はできないためです。
そのため、申告をする人がどちらを適用するか選択する必要があります。
従来の医療費控除・セルフメディケーション税制どちらが有利か判断するためには、控除の上限額が大きく係わってきます。
セルフメディケーション税制は、控除対象金額が12,000円以上とハードルは低いですが、申告できる金額が100,000円までと定められており、88000円までしか控除することができません。
通常の医療費控除は上限が200万円と高額ですので、入院などをされて、多額の医療費を払った場合は、通常の医療費控除で申告をしたほうが有利と言えます。
どちらにせよ、控除できるのであれば申告はするべきですので、病院の領収書はもちろんのこと、薬局のレシート等もきちんと保管しておくようにしましょう。
以下、国税庁のHPになります。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1132.htm
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